大学院入試で使った教科書
大学院入試で使った本の紹介(化学系)
私は農学部環境系学科→理学部化学科へ大学院入試を受けて入学しました。修士課程の終わりも近づいてきて、昔を懐かしむ意味で使った教科書を書いてみようかなと思いました。化学系(特に有機化学)の大学院入試に関してはそれなりに参考になると思います。有機化学以外はほぼ独学。
・基礎有機化学
一番初めに使った有機化学の教科書。かなり基礎の基礎を学ぶには適している。電子の矢印もそこそこ詳細に書いてあって、そんなに有機化学知らなくてもいいやと思っている人はこの程度でも十分基礎問題は正答できると思われる。
・電子の動きでみる有機反応のしくみ
ファーストで使う教科書にしてはちょっと難しすぎるかなと思うが、上の基礎有機化学を理解した後に読むと非常に有機反応が身につく。この本は官能基ごとというよりは、反応の種類で目次が分けられており、一般的な教科書とは有機反応の区別の仕方が異なる。よって、今まで知っていた反応を別の視点で見ることができるだろう。
・ウォーレン有機化学(上下)
有機化学の教科書としてのレベルは大学院講義よりもやや下かと思うが、とにかく説明が丁寧でわかりやすい。それなりにレベルが高いので、上2つの教科書を理解したら読み始めるべき教科書。とにかく膨大な内容量なので、やり始めるなら早めに。B4の4月から読み始めたが、普通の有機化学のラボだったらもっと早く読み始めないと間に合わないと思う(時間的な意味で)。しっかり上下巻マスターすれば、入学先でも普通にやっていけるだけの知識は身につくと思う。
・演習で学ぶ有機反応機構
おまけというか、問題演習本として。A~Cのレベルで問題が分けられているが、A問題でもかなり難しいものがある。B、Cは有機系の院生でもすべて解ける人間はそうそういない。大学院入試であればA問題を完璧にしておけば問題ないと思う。
物理化学
・マッカ―リサイモン物理化学 上下
物理化学といえばアトキンスだが、なんとなく合わなかったのでいい本を探していたときに出会ったのがこのマッカ―リサイモン物理化学。学部3年くらいからすこしずつ読み始めた。高校の数学Ⅲ・Cの知識(旧課程の人間なので微分積分・行列の話)があれば読み進めることが可能。たまに有機化学の論文であっても物理化学の知識を前提とする議論があったりするので、ここでしっかり勉強しておくと得することが多い。量子化学がとにかくわかりやすい。デメリットは高いことだが、解答まで買ってちゃんと演習問題もやることをお勧めする。
・無機化学演習 大学院入試問題を中心に
無機化学はこの問題集だけをやりこんだ。よくわからないところは図書館に調べに行くようにしていた。この問題集はとにかく大学院入試に焦点が当てられているので点を取るだけならこの本だけで申し分ない。では無機化学が身につかないかと言われるとそういうことはなく、エッセンスはしっかり身についたと思う。ちなみに、このシリーズの物理化学の難易度は極めて高いのでお勧めしない。無機化学は新版になってとてもわかりやすくなった。
上の教科書があれば大学院入試は十分対策可能。ぜひ参考にしてほしい。